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ミャンマー軍事政権に対するレジスタンス活動と言ってしまえば簡単ですが、あの国で起こってることが映像になって目の前に迫るインパクトは衝撃的です。VJとはビデオジャーナリストのこと。閉ざされた国ミャンマーから、秘密裏に、CNN経由で映像を全世界に配信する手法は現代ならではのレジスタンス手法ですが、かなり危険な手法でもあります。現在、ミャンマーの軍事政権は、11月7日の総選挙が終わったら アウンサンスーチーさんを解放すると明言したそうですが、軍事独裁体制には変わりありません。今は、この映画の舞台になっている年代からは数年経過していますが、実態は同じようなものであることは容易に想像がつきます。2007年9月に日本人ジャーナリストの長井健司さんが射殺された映像もこのビルマVJの撮影によるもので、その生々しい映像もこの映画のハイライトとして映し出されています。
実はこの映画を観たのはもう数カ月も前のことです。先に話したミャンマーのニュースに接して久々に記事を書きました。渋谷の某映画館で観たのですが、19時ごろの夜の回とは言え観客はわずか4名というさみしい状態でした。しかし、こういった作品に関心が集まりにくいのはしかたの無いことです。現代の日本人の感覚からすれば、体感的なリアリティをもって迫ってくるものではないので、本当の意味で共感できる映画ではないですし、特に志が高い方は別として、傍観者にならざるを得ないい無力感を抱くか、リアルな人間の醜さを目の前にしてやるせない思いに心を沈めるだけですから。じゃあ、君はなせ観に行くの?と言われれば、世界で起こっていることを受け止めるためのバランス感覚を失わないためだと答えるかもしれません。どう恰好をつけてみても傍観者であるわけですから、そんな答えしかできないんだと思います。
映画とは関係ありませんが、たまにこちらを訪れていただく方に近況報告をしますと、ここのところ、色々とあって心の内面と向かい合う機会が多かったのですが、YOGAやさまざまなエクササイズを通して心と体のバランスが大切であることも実感しているところです。映画を見る機会が減ったのもエクササイズに時間を費やしていることに原因があるのかもしれません。それと、先日、永平寺に行ってきました。道元の「正法眼蔵」を読みこなせない自分には敷居が高いかなと思いつつも、山の斜面に建つダイナミックな伽藍に心を奪われました。併設されている寂光園の鐘もついてきましたが、いいですね鐘の響きは。
ハート・ロッカー(2008アメリカ)
THE HURT LOCKER
131min/公開2010.03.06/戦争(PG12)
アバター対ハートロッカーという構図、そういうことでは面白かったアカデミー賞。音楽の祭典グラミー賞のショーアップ度が良かったせいか、エンタティンメントとしての面白さはいまひとつだった。スティーブ・マーティンとアレック・ボールドウィンの掛け合いの面白さがあまりよくわからなかったせいかもしれないけど…
まあ、賞のことは別として、さっそく『ハート・ロッカー』を見てきた。ドキュメンタリータッチの強いものかと思ったがそうではなかった。爆弾処理という視点でイラク派兵を描いたのは面白いが、一方で銃撃戦が爆弾処理に置き換わっただけとうい感じがしないでもない。スリルに酔ってしまうような命知らずの軍人もいれば、なんとか任務をこなして本国に帰りたいと願う軍人、精神的に追い詰められている軍人もいる。
キャスリン・ビグロー監督は、アカデミー賞の受賞式で、オスカー像を抱いて「世界中の制服を着る人たち、軍隊だけではなく救急隊や消防士などにこれを捧げます」と言っていたが、映画の内容からすると日々苦悩しながら任務についていること、つまり自分自身そして敵との戦いの中に身を置いている彼らに対する敬意だろう。
彼らを典型的なヒーローとして美化することは、かえって彼らにとってプレッシャーの要因となるかもしれないし、ありのままの姿を描くことはとても大切だ。日本にいてはよくわからないが、イラク派兵でアメリカ兵は4000人程亡くなっているし、帰国した軍人の精神障害なども社会問題化していていることから考えると、アカデミー会員にとっても、ファンタジーを通して自然との共存や生きとし生けるものは一つだというアバターのメッセージより、いまそこにある危機として関心ごとだったということが追い風になって賞を獲得したのかもしれない。より身近な関心ごとに票が動いたのだと思う。また、オスカーの話にそれてしまったが、作品としてはアメリカ人にはよく響く作品。もちろん、日本人でも十分見る価値はある。
監督製作: キャスリン・ビグロー
出 演: ジェレミー・レナー(ウィリアム・ジェームズ二等軍曹)
アンソニー・マッキー(J・T・サンポーン軍曹)
ブライアン・ジェラティ(オーウェン・エルドリッジ技術兵)
THE SYRIAN BRIDE
97min/公開2009.2.21/ドラマ
イスラエルに占領されているゴラン高原。占領されて無国籍となってしまったイスラム人がシリアに嫁ぐ物語。シリアに行くことはシリア国民となることであり、もうゴラン高原には戻れない。つまり家族とは二度と会えないので、複雑な心境の花嫁。
父親は反政府の運動をしているし、兄はロシア人と結婚して8年ぶりに戻ってくるが父親はロシアに逃亡したとしてこの息子を許していない。もう一人の兄は、どうも怪しい仕事をしてるらしい。
結婚している姉は夫の、つまりこの村の男性の女性に対する偏見に耐え切れず新たな出発を目指している。こんな設定なかでゴラン高原の状況を描いているのがとても面白いし、ドラマとしてもとてもよく仕上がっている。
政治的には同じ状況に中にいる彼らでも、自分の人生で何を選択してゆくのかは各々の世代、性別によってやはり違う。父の世代はイスラエルからの離脱を、子供たちは政治よりも自分の人生の充実を選択した。
選択したものの違いによってばらばらになりかけた家族がモナの結婚を期になにかを取り戻しかける。そして、もっとも選択肢の狭い女性たちの象徴として、結婚するモナと姉のアマルが自分の人生に立ち向かってゆく姿を描くところで物語は終わる。
マクロな世界では占領、被占領という現実がありこのイスラム人たち(イスラム教ドゥルーズ派)も生活の根幹はそれに支配されているが、その状況の中でひとりひとりがどう生きるか。家族の心のつながりがいかに大切なものかを描いているところが心を揺さぶる。
この作品エラン・リクリス監督は昨年パレスチナでレモン果樹園を営む女性の戦いを描いた『レモン・ツリー』という作品でも国際的評価を得た。主演は「パラダイス・ナウ」のヒアム・アッバス。
監督: エラン・リクリス
脚本: スハ・アラフ エラン・リクリス
出演: ヒアム・アッバス(アマル)
マクラム・J・フーリ(父・ハメッド)
クララ・フーリ(花嫁・モナ)
162分/アメリカ/FOX/公開2009/12/23
SF/アドベンチャー/アクション

NHKのクローズアップ現代でも取り上げられてましたが、ジェームズ・キャメロン監督(ターミネーター、タイタニック)が長年開発にかかわったという3D映像システムのSF作品。26日、さっそく3D上映の分を観てきました。映画の内容はさておき、3D映像そのものの評価はというと、残念ながら想像の域をでなかったというのが率直な感想です。3D映像自体はアミューズメント施設でも普通に見られ、今はそれほど珍しいものではないので、どんな仕掛けをしてくるのかちょっと楽しみにしてたのですが、特段かわりなし。アメリカ映画界にとってみれば、撮影システムの標準化による量産で、低迷する劇場来場者数増員の起爆剤としての期待が高いのでしょうが、はたしてその期待にこたえられるのか?というのが率直な感想です。
シネコンの一番大きいスクリーンで観たにもかかわらず、とっても画面が小さく暗く感じられます。時々メガネをはずしてみたのですが、2Dの画像をベースに考えられたスクリーンだからあたりまえかもしれませんが、断然迫力があったような気がします(画面がダブってるのではっきりとは見えなかったのですけど)。3D用のスクリーンもセットで考えないといけないでしょうし、普段メガネを掛けなれないせいか2時間半以上あの重たいメガメをつけてるのもちょっとしんどい。メガネとメガネに信号を送るシステムなどコスト回収・付加価値も含めて、2000円のチケット代なのでしょうがこれもちょっと高すぎます。
3Dシステムについてはちょっと酷評になってしまいました。ストーリー自体は、ヒーローものであり最近の戦い系ファンタジーものの典型なのですが、アバターという作品自体は結構楽しめるものです。2時間42分と長い作品でしたが時間を感じず、惑星パンドラの先住民ナヴィの女性ネイティリとナヴィに潜入した元海兵隊員のジェイクの交流にきちんと時間をさき、先住民を統率してゆくまでの流れに違和感のないものになっています。アフリカ系の音楽もマッチしてたし。難をいえば、惑星の動植物キャラクターがどうしてもファイナルファンタジーのようなゲームキャラっぽく、さすが日本のゲーム文化の影響がここまで浸透してるとははすごい!とひとり感じ入ってました(笑)

監督・製作・脚本: ジェームズ・キャメロン
出演: サム・ワーシントン(ジェイク・サリー)
ゾーイ・サルダナ(ネイティリ)
シガーニー・ウィーヴァー(グレース・オーガスティン)
スティーヴン・ラング(マイルズ・クオリッチ大佐)
日本サイト
映画の話題からちょっと脱線・・・
今日の東京は最高気温20度、と」天気予報のお姉さん。
寒くなった。
「またも、 いつの間にか秋も深まってしまった 」
”またも” というのは、へんな言いまわしに聞こえるかもしれないが、
やはり、”またも” だ。
北海道、東北、北陸、東海、近畿、中国、四国・・・
いつも、この季節は全国をめぐっていて、
バタバタとしているうちに時間が過ぎてしまうから。
冗談めかして、「 秋の巡業 」 と名づけているが、
小さな発見が楽しい季節でもある。
先日、京都に行ったとき早朝の大寺院をめぐってみることにした。
歩いて2時間コース、駅前のホテルに宿したので、
たずねたのは、真宗のお東さんこと東本願寺と、お西さん西本願寺。
両寺とも建物こそ巨大だが、御影堂と阿弥陀堂がメイン、
安置してあるのも親鸞聖人の御影像が中心で
いわゆる仏像見学の寺ではなく、
信仰が中心の寺というイメージが強かったからという理由もある。

まずは、お東さん
門に近づくと、通りすがりのひと何人かが門前で足をとめ、
一礼をして合掌をしていく
門徒だろうか、
早朝なので人通りがまばらだったので数は少なかったが、
日常のなかで、仏教とはつながりがなかった自分には感動的でもあった。
門をくぐると、巨大な御影堂が飛び込んでくる。
親鸞聖人が亡くなって750年を迎えるにあたり10年がかりの大改修、
西方にあるという極楽浄土を背にしているので正面は東を向いている。
その正面の東から、のぼり始めた朝日を浴びて、
新しくなった大屋根が輝いているのもいい。
数珠をとり、合掌、南無阿弥陀仏。
この時間は観光客などひとりもいない。
なにかの集まりだろうか、門徒の方が少しずつあつまってくる。
その流れにのって、御影堂から左の渡り廊下を通って阿弥陀堂へ
巨大な広間に居るのは、ほとんどご年配の方、
正座がしんどいのでしょう、
小さな折りたたみの椅子を用意して広間の後方に陣取っている。
自分は、あつかましくも一番前に正座し、
修復工事の間、御影堂から移設してある親鸞聖人の御影像をじっくりみる。
同じく阿弥陀如来像、聖徳太子の掛け軸も。
正面の欄間には 「 見真 」 とかかれた大きな額がかかっている。
”見真” とは、明治期におくられた親鸞のおくりなで、
御影堂が宗祖親鸞をおまつりしてあるところだというのがよくわかる。
一般の人がはいれない、さらに前のほうでは、
ひと家族が数人が僧侶の話を聞いている。
近くにガイドらしき人がいたので、遠くからきた家族を亡くした方たちなのか、
はたまた、念願の本廟へ来られたのかもしれない。
しばらくして、僧侶の話がおわると”南無阿弥陀仏”ととなえはじめる。
きっと、そのあと 「 正信偈(しょうしんげ) 」 というお勤めの偈文を詠んだのでしょう。
さて、お東さんをあとにして、お西さんにむかう。
境内の北側を西に行くとお西さん。
東本願寺のお堀の大きな錦鯉を眺めながら、てくてくと西へ進む。
錦鯉が一心不乱に大きな口をパクパクする姿は、
人間の貪欲を象徴してるようで、あまり好きではない。
仏教のいう三毒のひとつ、貪(どん)である、
「寺院にはふさわしくないなぁ」 と、ぶつぶついいながら15分ほどすると、
お西さんが見えてきた。

ダイナミックなお東さんと比べると、瀟洒な感じがするたたずまいだ。
門のところで、新人お坊さんの集団とすれ違う。
先生と目される僧侶に引き連れられてぴょこぴょこと歩く姿、
門を出るときに境内に向かってひょいっと頭を下げる姿は初々しく、
先導する僧侶に遅れまじとする姿は、
カルガモ親子をおもわせるユーモラスな姿で、思わず微笑んでしまった。
しかし、葬式仏教などと揶揄され、しかも世襲制の寺の世界、
その心中は、結構複雑なのかもしれない。
御影堂の正面に到着。 合掌、南無阿弥陀仏。
西本願寺は10年に及ぶ修復を終えていた。
またまた、一番前にすわり、親鸞聖人の厨子を拝見する。
内陣は、極楽浄土を模したのでしょう。金色の厨子に金色の柱、
漆黒の漆の床はその金色を反射し、まさに極楽浄土のように荘厳。
極彩色というのは、まさにこの極楽の色使いなのでしょう。
3,000人を収容する広大な大広間をじっくり体に感じたあと、阿弥陀堂に移る。
こちらにはひとが居なかったのでじっくりと阿弥陀如来像と対面させていただく。
表にでると、朝日も橙色から白色に変化し、
まぶしく阿弥陀堂の正面を照らしていた。
門前で一礼し、境内を出ようとしたとき、
橋の欄干の間に、小さなおばあさんが小さく縮まって座っている。
ちょっと驚いたが、意識はしっかりとしていそうだ。
しかし、その意識は忘却のかなたをさまよっていそう。
ご近所の方だと思うが、なにを思ってそこにいるのか、
自分には計り知れなかった。
さて、京都駅に行こう。
琵琶湖を越えて北陸に向かわねば。




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